マーケティングの本質②

ひとことでマーケティングと言っても、その職務内容は企業によって、まちまちで、定義し難いのは事実。いわゆる外資系で、商品開発業務がなく、商品をどう売り込むか?というような場合は、いわゆるBrandingなるものが、主たる職務となる。しかしながら、ここもマーケティング偏差値が高い企業になればなるほど、様々な誓約、BrandのRegulationがあり、あれしちゃダメ、これしちゃダメと本社からチャチャが入り、結局のところCopy開発が主業務になるケースが多い。例えばTV広告などは、日本は特別扱いされていてあまりないが、アジア各国のTV広告などは本社作成の本国の広告の吹き替えや編集での繋ぎ合わせというようなケースも多々あるので、消費者Communicationが主業務といいながらも、店頭Communication中心で、定められたポジショニングが如何に魅力的なものであるかを伝えるのが、主業務になっているCASEが多い。

例えば、某英語の頭文字2つの会社では、『赤ちゃんのお肌は大人の3分の1の厚みで繊細』というようなCopy開発が主業務でポジショニング自体はHQが定めたポジショニングの翻訳で、いわゆる機能的なベネフィット=ポジショニングは本社任せが多い。欧州の某食品会社のKIT KA○も、日本語で『きっと勝つ』と言う駄洒落のようなキャンペーンを展開して、受験生の必需品化に成功したと言うようなケースもあるが、あくまで需要喚起的な側面で、消費者の不安や不快・不満を解決したり、まったく新しいベネフィットを提供するというマーケティングの王道を実践する機会に恵まれたマーケッターは少ない。私の記憶にあるところで、20年前くらいの話で恐縮だが。。。。外資系でも全く新しいベネフィットを構築したのはP&Gのファブリーズぐらいではないか?と思う。今はファブリーズもリポジショニングしていて、当時とは違うが、発売当初は、臭いの素は布に潜んでいると定義し、ソファーやカーテン、コートなどに吹きかけることで、臭いを元から断つと言うポジショニングで、空気中に別の匂いを充満させるエアケアの他のBrandとは一線を画し、まさに唯一無二のポジショニングを形成し、華々しくデビューし、成功した。

後年、たまたま、その時のブランドマネージャーだった人の講演を聞いたことがあるのだが、彼がやりたかったことは『認知的必然』を作ること。簡単に言えば、問題の本質を新しく定義して、その定義を知れば、それを解決する商品は自ブランドしかないので、勝手に売れ出し、価格競争も起こらないと言う考え方で、それが認知的必然と定義付けていた。当時、駆け出しのマーケターだった私はひどく共感した事を今でも覚えている。よって、Marketingの王道とは何か?と問われれば、認知的必然を作る事と教えるようにしている。